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アンカー adishi

古くからローズオイルを生産してきたこの谷は薔薇の谷と呼ばれ、
6月の初めには谷の中心であるカザンラクで薔薇祭りが開催される。
薔薇祭りでは若い少女たちが民族衣装を着て薔薇の花弁を採集したり、民族音楽に合わせて踊る。
国際的にも有名なこの祭りには毎年多くの観光客が押し寄せ、静かな村は人で溢れる。
そんな華やかさとは裏腹に、実際のバラ園で働く労働者はジプシー達だ。
薔薇が咲き始める5月から6月の間は彼らにとっての“稼ぎ時”で、
薔薇園に車やバスで来ては薔薇を摘む。透明な袋に花弁を詰め、重さに応じて報償を貰う。
貴重な現金収入である。
陸続きのヨーロッパでは伝統と歴史と人種とが複雑に混ざり合い、それが今の形になっている。
薔薇の谷でのこの小さな嘘が、ブルガリアという国をどう変えたのだろうか。
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